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くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
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ぁ、名前は?
 俺は……あ、うんと…今度までに名前、つけてもらっとく。
 まだないんだ、名前…。

 目覚めると、涙が零れてた。
 誰だろう? あいつ。
 なんか、すげ~懐かしかった。
 なんも覚えてねぇ自分が、情けねぇ。
 でも、また逢えたらいいな。
 今の俺には名乗る名前があるから。
9&ナタク


やけた口元に思いきりハリセンを炸裂させる。
 昨夜のあんた、かわいかったなぁ、
なんざ、どの口が言うんだ? 
 顔は反則だろ~が! 
と怒ってくるが、無視。
 けれど、切れた口の端を舐める舌を見て。思わず近づいて、深いキス。
 唇が腫れたらこのキスも出来ないと思うと、優しく傷口を舐めていた。
53


るま湯に浸かったような日常に飽き飽きしてた。
 だから…雨に流れる命の色が目に飛び込んだ時、自然と手を伸ばしてた。
 そいつが生きてるなんざ思ってなかったけど。
 日常を変えるナニカが欲しかったから。
 気がつけば、俺の常識はいい方に覆っていた。
5


みぃ…。
 片手に煙草、片手に錫杖を持って大きくのびをするその背中。
 きっと彼にも負けないぐらい眉間にしわを寄せているんだろう。
 僕には運転が、人間の彼や育ち盛りの彼に寝ないのはつらいだろうから。
 そう言っていつも野営で寝ずの番をしてくれる。
 貴方好みの珈琲を用意して、
お疲れ様でした。
8&5


んきな顔して寝やがって。
 同室のガキの寝言に飛び起きれば、隣のベッドでは高鼾。
危ねぇ!
 切羽詰まったような声に慌てた俺がバカみてぇ。
 戯れにそいつの鼻を摘むと鼾が止まった。
 今のうちに、とベッドに戻りかけると、腕を捕まれて噛み付かれた。
まじぃ…。
 その一言に思い切り頭を叩いてやった。
5&9

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すけて…。
 手慣れた指が俺を翻弄する。意識が白く溶ける。
 それをわかって、あいつは言う。
「どこまでも堕ちよう」と。
 絶対に上り詰めようと言わないのは…俺達の関係が普通ではないから。
 だが…知っているか? 
 俺は…てめぇに野性の瞳で見つめられた時にはすでに、堕ちて、いる。
53


きしょう!
 拳を壁に叩きつけて憤る。
 救えなかった命に、祈るわけでも涙するわけでもなく。
 救えなかった自分の不甲斐なさに、無力さに腹を立てる。
 貴方は優しい。
 もう一度叩きつけようと振りかぶられた手を取って、赤くなった拳に唇を落とした。
 誰も救えなかったわけじゃない。
 僕は…貴方に救われた。
85


らいなら泣けばいい。
 貴方はそう言うけど。
 僕の涙は、彼女が死んでしまった時に、涸れ果ててしまいました。
 泣くための声は…もう、嗄れてしまって、出てきません。
 それでも、貴方が優しく僕を包み込んでくれるから。
 出ぬ声で、流れぬ涙で、泣いていいですか?
8


めぇら、煩ぇんだよっ!
 罵声とハリセンの炸裂する小気味のいい音。
 いってぇ~!と仲良くハモる声。
 ホント、後の二人は仲いいんだか悪いんだか。
 大声の喧嘩が小声のぼやきにかわり、ジープの調子のいいエンジン音がそれに混じる。
 まっすぐな道。見上げると、済んだ空。
 この旅にも慣れました。
8目線一行


っさに出た手。握りしめた手首は思ったより細くて。
 気がつくと抱きしめていた。
 逃れようと暴れる身体を羽交い締めにする。
 自分でも何がしたいのかわからない。
 ただ、腕に閉じ込めた暴れる身体が愛おしくて。
 怒りの色を浮かべる瞳を見ながら、キスをした。
83



よなら。
 言えなかった言葉が心の中で空回りをする。
 言えなかった…言いたくなかった。
 けど、だから。
 いつまでもそれが心に引っ掛かっている。
 今度は言おう。
 しっかりと目を見つめて。
 言わずにいられれば、その方がいいのだけど。
 だから…旅の終わりは見たく、ない。
8


ずがにしやがれっ!
 罵声。
 思わず頭を押さえるが、ハリセンは飛んで来ない。
 あれ?と隣の金の瞳と視線をあわせ前を見ると。
 紫の瞳は見えなかった。
 寝てやがる。
 寝てる奴に怒鳴られて首を竦めるなんざ、かっこ悪ぃよな。
 ぼそっと呟くとハンドルを握る翠の瞳が楽しそうに笑った。
 いつもの光景。
 幸せな。
5目線一行


るり、とすり抜ける身体に。
 名残惜しく思って手を伸ばせば、難無く捕まえられるけど。
 腕の中でくすぐったそうに笑ってくれるけど。
 捕まえられるのはいつでも身体だけで。
 お前の心はどこにある?
 失った過去に?
 お前を見もしない、あいつに?
 お前が煙草の香りにあいつを重ねてるの、知ってるんだぜ?
5→8→3


つねぇ〜。
 そう言いながら、赤くなった頬を押さえてへらり、と笑う。
 黙って見送る女性の背中。
 くるり、と振り返った貴方は、
で、このアト、どーするよ?
 と僕に聞いた。
 貴方はずるい。
 僕を親友の座において、いつも僕をおいて行って。
 僕の気持ち、わかってるくせに。
 切ないのは…僕の方。
8→5


っと、抱きしめた。
 壊してしまいそうだったから。
オンナじゃねぇんだ、
 貴方は紫の瞳を眇めてくすぐったそうに身を捩る。
 そうやってすぐに逃れようとするくせに、嫌がってないことがわかるから。
 僕は、貴方にキスをする。
 貴方に甘えて。貴方に溺れて。
 そっと抱きしめるのは、僕の卑しい心を隠すため。
83



ッコ悪ぃ…。
 自力で動かせくなった身体をぼんやりとした視界で見つめる。
 弛緩し切った身体のせいで、呼吸さえ止まりがちだ。
 それでも…こうして敵の罠に落ちた事よりも、こうやって動けずにいることよりも……。
 きっとあいつらが助けにきてくれると信じてる自分が…カッコ悪ぃ。
 それでも、信じてる…
5


すをして?
 ねだる貴方があまりにも幼く見えたから、抱きしめて額に唇を落とした。
 どうして私たちは姉弟なんだろうね…呟くと貴方は淋しそうに笑って。
 それでも僕は大好きなんだよ、とその哀しい笑顔のまま言うから…。
 抱きしめて額に落とした唇を離せない。
 私もきっと哀しい笑顔をしてるから。
花8


やしい。
 あいつはなんであんなに余裕があんだよ。
 楽しそうに翡翠を眇て笑いやがって。
 テンパってんのはいっつも俺の方。
 乱れて見せんのもわざとなのか、と疑心暗鬼になっちまう。
 ホントは夢中な俺のコト、笑ってんじゃねぇの?
 恋の駆け引きに負けたのは俺…。やっぱ、くやしい。
58


んか両成敗ですねぇ。
 なんて。
 ハリセン喰らって痛む後頭部を押さえながら睨みつけると。
 そんな目で睨んで…誘ってるんですか?
と言われた。
 この状況でどうやって!
 赤くなったり青くなったりする自分の顔色が容易に想像できる。
 呆れたような二つの色に苛立って。
 結局俺が一番の貧乏くじ。
85&3・9


っちこっち!
 テンション高く引かれる手に苦笑しながらついて行くと、目の前に大きな湖が広がっていた。
 そこに落ちる夕日が、湖面をオレンジに染めるのを、眺めた。
 な、美味そうな色だろ?
 その言葉に出てきかけた感慨みたいなもんが一瞬で吹き飛ぶ。
 楽天的すぎるこいつがいるから、俺は前に進める。
5&9



っちぃ~。
 言いながらぐたりと僕に縋るの、やめてくれません? 僕だって熱いじゃないですか。
 出そうになった言葉を飲み込む。
 真夏のこの暑さの中、貴方の体温で汗をかくのは嫌いじゃないから。
 ただこうして。
 無為な夏の昼下がり。
 貴方と一緒に溶けてしまえたら…
58


やだ、と拒否の言葉を紡ぐその唇を無理矢理に奪う。
 本当に嫌がってないのはわかってるから。
 俺から逃げたがる紫。縋りつく金。
 白い肌に残る古傷の一つ一つを指でなぞって。
 この傷があんたの生きた証なら。俺はこの傷の全部を愛してやる。
 だから…俺の頬の傷も愛してくれないか?
 あんたのその指で。
53


つろな瞳で俺を求めるお前。
 何を見てるんだ、その瞳は。
 俺じゃないことだけはわかる。
 いいんだ、別に。誰かの代わりでも。
 そう割り切ってた筈なのに。本当は俺を見てほしくて。
 遠くを見つめる翠に、自分の紅を映すようにしてつかの間の死に向かう。
 俺だけを、見て…今すぐじゃなくていいから…。
5→8


いえんに、なんてことは言わないが。
 死が二人を別つまで。きっと長い時間だろうけど。
 俺達の生はどれだけ続くのか。
 ここにいれば死は遠い。
 だからこそ、下界への討伐に、死と隣り合わせの世界に魅せられる。
 それでも、お前と出逢って。
 もう少し生きている時間が欲しいと思った。
KT


い。
 耳元で囁かれる声に心が反応する。
 それでも寝たふりを続けると、もう一度。
おい。
 と言われた。
 高飛車にも聞こえるその声に含まれる、少しの甘え。
 何をねだってるのか、わかってるけど。
 だったら…名前を呼んで?
 はっ…僕の名前が全部囁かれる前に、我慢できなくて唇を塞いでしまうんだけど。
83


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