くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
Category:NoiRouge
ゆっくりと意識が浮上する。ぼんやりと見る天井は見覚えのないとこで、またオンナのとこに転がり込んだのか、とぼんやりと思う。
飲みすぎたせいか、はっきりしない頭のままじっとしてた。オンナがそのうち起こしに来るだろうと思って、もう一度目を閉じる。
「ったく…まだ寝てんのかよ…」
ところが、聞こえたのは男の声で、俺は慌てて飛び起きた。
「ようやくお目覚め? 仔猫ちゃん?」
起き上がった途端に全身に激痛が走って、そのまま蹲る俺にそいつはやけに気に障る口調で言った。
「てめっ! なんなんだよっ!」
咥え煙草のそいつのふてぶてしい顔にイライラする。殴りかかってやりたい衝動に狩られたが、痛みに身体が利かない。諦めて、それでも睨むことはやめずに柔らかなベッドに身体を沈めた。
「お前さ、自分が殴りあった相手ぐらい覚えとけ。そのうち闇討ちにあうぞ?」
そいつから伸びてきた手が俺の頭を撫でる。苦笑を禁じえない、という表情のそいつの口から煙草を掠め取って吸ったのは、ほとんど動けない俺のちょっとした抵抗、ってやつか。
そいつの口元が腫れていて俺が一方的にやられたんじゃねぇ、ってことが少しだけ俺の自尊心を助けた。
「お前があんま暴れるんで、関節堅めちまったからな…。三日は動かせねぇみてぇだし。ま、大人しくしとけ、悟浄」
さらに頭を撫でられ…自分の名前を呼ばれたことに驚く。
「なんで俺の名前!」
「ん? ああ。バーのマスターがそう呼んでたからな。ホント、なんも覚えてねぇんだな…」
目が離せなかったのは事実だが、別に見たくて見てたわけでもなかった。ましてや、目の前のこいつを口説こうなんてこれっぽっちも考えたりはしなかった。
なのにすぐ横に座ってた紅毛の男は何が気に食わなかったのか、いきなり俺に殴りかかってきたのだ。
喧嘩なら外でやってくれ。とマスターに追い出され、暫くそいつが俺を殴るのに任せてやった。
軍に入る前、こいつぐらいの時には俺もそうだったから。
すべてがつまらなかったから。
似すぎてるから。どんな無茶をやらかすのか、気が気じゃねぇから。こいつがこの先、どうなるか。自分ならどうするか考えるとわかるから。
あのときの自分を重ねちまったから。
それでもただ殴られるのはやっぱり気がすまなくて、反撃してやったら、結構あっけなく落ちた。
酔ってたせいもあるだろう。喧嘩慣れはしてるみてぇだったけど、訓練を受けた俺と、素人のそいつじゃ結果は最初から見えてた。
そこにそのまま転がして帰らなかったのは…やっぱりそいつに昔の自分を重ねたから、だったんだろう。
「俺は、捲簾だ」
そいつはそう名乗った。俺の口から煙草を取り返し、美味そうに吸うそいつ…捲簾はあっけらかんとした表情で、俺がしかめっ面をしてるのも我関せずな感じで、頭を撫でてくる。
「鎮痛剤飲ませたから、動けるようになるまで寝とけ?」
にやにやと笑う捲簾に、どうやって飲ませたんだ、とか、余計な世話だ、とか色々言いたいいことは浮かんだが、うっかり、撫でられる手が気持ちいい、と思ってしまい、俺は薬の誘う眠りに落ちてしまった。
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Category:NoiRouge
捲簾と悟浄。
前世と現世。
この二人が出逢ったら…。
と、こんな感じでシリーズ化しようと思い書き始めました。
連作短編のような形式になると思います。
気長にお付き合いくださいませ。
Category:NoiRouge
バーのカウンターの隅に座った一人の男。紅い髪が派手で目立ちそうなもんなのに、自然にそこに溶け込んでいた。
それでも、俺の視線はそいつに釘付けになる。
すべてを拒否したような雰囲気を纏い、酩酊に近い状態で壁に縋る姿は、そこには似つかわしくない程に幼くて。
なのに、そこにいるのが当然で。
目が離せなくなって、一つ間を空けたスツールに腰を下ろした。
上司の嫁さん寝取っちまって、無期限の謹慎処分。
クビになんなかっただけいいんじゃねぇか、って声も聞こえたが、全部、親父の七光のせいだってのが、泣けてくる。
身体が鈍るのを防ぐために一人鍛錬に明け暮れようにも、相手になる奴なんざいねぇ。
軍部の部屋を追い出され、実家に居候の身じゃ無理も言えねぇ。
そんなこんなで腐ってたら、親父が時空ゲートを使わせてやる、とか言いだした。
多分、厄介払いしたかっただけだろうそれに、俺は乗っかった。
時代は普段討伐に出かける場所より遥か未来。銃も持てない今は、安全な時代へ。
酒の酔いに身を任せ、このままここで寝ちまってもいいか、なんて思って目を閉じると、すぐ横に人の気配。
女なら上手いこと言って今夜のベッドを、って思ったけど、どうやら男のようだったんで、無視。
なのにそいつは、いくらでも席はあんだろうに、わざわざ俺の傍に腰掛けやがった。
ちらっと目を開けて見ると、そいつは興味深げに俺のこと見てやがる。
気色悪ぃ。
俺はそいつを無視して、マスターに酒のお代わりを注文した。
街の顔役のオンナ寝取って鷭里が出奔してから、毎日が色褪せた。
別にあいつと居たのが楽しかったわけじゃ、ねぇ。
喧嘩に明け暮れ、酒を浴びるほど飲んで、オンナを抱いて。
なんも考えなくていい、そんな毎日が、楽だったんだ。
誰でもいい…。俺をどっかに連れだしてくれよ…。
言えるわけもなく、毎晩潰れるまで呑むのが日課になった。
Category:お題
眠い目を擦りながら寝室を出る。
珈琲の香りとパンの匂い。
エプロン姿で朝食を用意してるあいつに抱きつくのは、タブー。
何が良くて悪いのか。
あいつの中の分類は難しい。
目覚めのキスはNGなのに寝る前のキスはOKとか。
その境界線を探すのが楽しい、そんな日常。
【「分類」「タブー」「日常」】
生きていることすら、過ちなのかもしれない。
それでも、僕は生きている。
生かされて、いる。
僕の罪の色を纏った、貴方に、生かされている。
雪がすべての世界を埋め尽くして世界の色を変えてしまうように。
貴方が僕の世界の色を変えた。
光を見つめて生きて行ける世界に。
【「過ち」「雪」「光」】
夕方の薄暗い室内に小さなケーキが一つ。
兄貴が買ってくれた俺のケーキ。
アノヒトに隠れるように毛布を被って一人で食った。
あれから、俺はケーキを喰いたいと思わなくなった。
それでも。
目の前でお前が美味そうに食うから。
戯れにお前の手を取ってフォークのケーキに口をつけた。
【「ケーキ」「夕方」「毛布」】
Category:最遊記
月が、出ていた。
満月だった。
まだ低い位置のそれは、どこか赤みがかっていて、まるで血を流しているように見えた。
ただ、それを静かに眺めるそいつの色は、天空に光り輝く月そのものの色なのに、泣いているように、見えた。
急に髪を引っ張られる。
泣いてんじゃねぇ、そう言われて抱え込まれる。
泣いてんのはあんた、だろ?
言いかけた言葉は飲み込んだ。
そこにそうして抱かれるのは、気持ちが良かったから。
泣いてるのが、そいつでも俺でも。
ただ、こうやって体温を通じ合わせるのは、スキ、だから…。
う~さぎうさぎ~なに見て跳ねる~……。
ウサギは赤い目で月を見ながら跳ねるらしいな。てめぇはなに見て跳ねるんだ?
冗談めかして聞いたのは、その月よりも眩しい男で。
存分に酒を呑んでご機嫌らしいそいつに。
俺? 俺も月見て跳ねるんだぜ?
そう言って、そいつに向かって跳ねて見せた。
この後跳ねる事になんのは、あんたの方だけどな。
悟浄と三蔵。満月は三蔵のイメージ。
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プロフィール
夏風亭心太
酒、煙草が好き。
猫好き、爬虫類好き。でも、虫は全部駄目。
夜が好き。月が好き。雨の日が好き。
こんな奴ですが、よろしくお願いします。
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