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くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
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 バーのカウンターの隅に座った一人の男。紅い髪が派手で目立ちそうなもんなのに、自然にそこに溶け込んでいた。
 それでも、俺の視線はそいつに釘付けになる。
 すべてを拒否したような雰囲気を纏い、酩酊に近い状態で壁に縋る姿は、そこには似つかわしくない程に幼くて。
 なのに、そこにいるのが当然で。
 目が離せなくなって、一つ間を空けたスツールに腰を下ろした。


 上司の嫁さん寝取っちまって、無期限の謹慎処分。
 クビになんなかっただけいいんじゃねぇか、って声も聞こえたが、全部、親父の七光のせいだってのが、泣けてくる。
 身体が鈍るのを防ぐために一人鍛錬に明け暮れようにも、相手になる奴なんざいねぇ。
 軍部の部屋を追い出され、実家に居候の身じゃ無理も言えねぇ。
 そんなこんなで腐ってたら、親父が時空ゲートを使わせてやる、とか言いだした。
 多分、厄介払いしたかっただけだろうそれに、俺は乗っかった。
 時代は普段討伐に出かける場所より遥か未来。銃も持てない今は、安全な時代へ。




 酒の酔いに身を任せ、このままここで寝ちまってもいいか、なんて思って目を閉じると、すぐ横に人の気配。
 女なら上手いこと言って今夜のベッドを、って思ったけど、どうやら男のようだったんで、無視。
 なのにそいつは、いくらでも席はあんだろうに、わざわざ俺の傍に腰掛けやがった。
 ちらっと目を開けて見ると、そいつは興味深げに俺のこと見てやがる。
気色悪ぃ。
 俺はそいつを無視して、マスターに酒のお代わりを注文した。


 街の顔役のオンナ寝取って鷭里が出奔してから、毎日が色褪せた。
 別にあいつと居たのが楽しかったわけじゃ、ねぇ。
 喧嘩に明け暮れ、酒を浴びるほど飲んで、オンナを抱いて。
 なんも考えなくていい、そんな毎日が、楽だったんだ。
 誰でもいい…。俺をどっかに連れだしてくれよ…。
 言えるわけもなく、毎晩潰れるまで呑むのが日課になった。




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