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くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
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 背もたれに身体を預け、天井を見上げる。
 首を反らせてそのまま背後のドアを見ると、ちょうど開いたところだった。
 上下が逆になった視界の中に、貴方がカップを二つ持って入ってくるのが見えた。
 手渡されたカップには珈琲。
 貴方の笑顔がまぶしくて、自分の視界に手をかざした。
【「珈琲」「かざす」「首」】


 夏までまだ間があるはずなのにやたらと暑い夜だった。
 水のシャワーで体温を下げ、拭かずに扇風機の前に座る。
 いくら暑くてもそれじゃカゼ引きますって。
 笑いながらあいつが言って髪を拭いてくれる。
 窓を開けると外は闇。
 入り込むその闇に、俺の中の不埒な熱は上がった。
【「扇風機」「窓」「闇」】


 出てくのを見てた。
 探さないで、背中がそう語ってた。
 だから…後を追いかけたんだ。
 探しちゃダメだってんなら、見失わないように。
 気付かれるとわかってた。
 奴が振り返った時、見上げた空には、スパンコールのように星が瞬いてた。
 俺が悪かった。
 だからさ、一緒に帰ろうぜ?
【「スパンコール」「探さないで」「後ろ」】


 炎天下、ただひたすらまっすぐな道。
 陽炎のように揺らめく地面に大量の水。
 追っても追ってもそれには近づくことすら出来ない。
 逃げ水、という自然現象。
 捕まえて見たいんですけどね。
 ぽつり、と呟く。
 手を伸ばせば逃げる貴方になぞらえて。
 遠回しななぞかけのように。
【「遠回し」「水」「追う」】



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 何度結んでも好きになれねぇ。
 首が絞められてるみてぇで。
 頼まれホストで一週間。
 ネクタイにスーツ着用。
 ぐったり疲れて帰ってネクタイを緩め、スーツのジャケットを投げ捨てる。
 伊達眼鏡を外すと取り上げられてかけさせられる。
 あいつ、好き、なんだと俺の眼鏡をかけた顔が。
【悟浄】


 スーツを着て。
 モノクルを外して、眼鏡をかける。
 鏡の前に立って、ネクタイを締める。
 なんか別人みてぇ。
 そんな声を聞いて、微笑んで見せる。
 新しいことを始めようとする僕に。
 彼は激励の意味を込めて、背中を軽く叩いてくれた。
 旅が終わって。
 新しい僕に。
 それぞれの道に。
【八戒】


 半分ずらした眼鏡に、無精ひげ。
 緩めたネクタイと気崩れたスーツによれよれの白衣。
 全部が自分を偽るため。
 自分が何か。
 いまだ、見えない。
 それでも…それだからこそ、これは見せ掛けの自分のスタイル。
 自分が何なのかわかるまで。
 ずらした眼鏡の奥から、すべてを、見つめる。
【烏哭】


 ホントに、気をつけてくださいよ?
 心配顔で注意される。
 注意したそいつだって満身創痍だ。
 仲間を信用して背後を預け暴れ回った。
 制約は多いけど、思う様に戦える場所と肩を並べるコトの出来る仲間。
 今回は下手打ったけど、次回はもっと用心するからさ。
 心配は程々で頼むわ。


 気をつけてくださいよ?
 そう注意したところで多少の無茶をするのはわかっている。
 貴方のことだから。
 信用している、されている。
 それだけで僕も暴れられるから。
 背中を預け、預けられ。
 そして今日も、戦う。
 心配?そんなものしてるわけないじゃないですか。
 だから貴方も。


 今は無茶をする時。
 安息なんざクソ食らえだ。
 お前が一緒にいる限り。
 仲間が戦える限り。
 俺たちは止まらない。
 まっすぐに進むだけ。
 この身体が壊れるか。
 心が壊れるか。
 目的を達成するか。
 結末がなんにしろ、俺たちに出来ることは戦いながら進むだけだから。
 お前さえいれば。


 わかって…いますよ。
 貴方の考えている事が一字一句伝わってくるようで。
 その、最後の笑顔と、最後の言葉を脳内に焼き付けた。
「またあとでな」
 ええ。またあとで。
 貴方が約束を破ったこと、ないから。貴方ならきっとその約束を実現してくれるから。僕も、それに応えよう。

 洗濯がすんで、掃除もすんで。
 お昼が近い、辛うじて午前中と言える時間。
 彼はまだ起きて来ない。
 午後から予定があるんですよね、僕。
 起こそうか起こすまいか。
 お昼ご飯は用意した方がいいのか、いらないのか。
 いつも迷う。
 でも、この迷いが一人じゃない感じがして心地いい。
【「午前」「迷う」「予定」】


 真夜中にふと意識が浮上する。
 何故だろう、とぼんやりした頭で考えると、雨音が聞こえた。
 隣で眠るはずの温もりがなくて、不安になった。
 寒かった。
 彼の煙草と珈琲の香りが漂ってきた。
 カップを一つ差し出される。
「俺が、お前の傘になるから」
 それは大きくて安心できた。
【「雨」「傘」「夜」】


 急に抱き締められた。
 ガキ特有の温もりに包まれる。
 どうした? 
 そう聞いてもただ、その頭を俺の胸元に埋めて首を横に振るばかりで。
 なぁ、ここ痛い?
 古傷に指を這わせて心配そうにまっすぐに見上げられる瞳に。
 お前に逢ってから痛まなくなった。
 そう、囁いてやると嬉しそうに笑った。
【「胸元」「温もり」「傷跡」】


 お前に抱きつかれた瞬間に。
 鼓動が早くなって、呼吸する事さえ忘れた。
 腕を回し抱き締めてすべてを受け入れるべきか、押しやって今までの関係を続けるべきかの葛藤。
 お前に触れる寸前で腕は止まったまま動かない。
 忘れた呼吸を思い出すように酸素を吸って、答えを見つけた。
【「葛藤」「酸素」「瞬間」】



 ちゃぷん、と水音がして、奴が湯船に浸かったのがわかる。
 一緒に入ろうとかけてくる声は無視。
 どうせ後から入る事になるんだ。
 一日に二度も入ってたまるか。
 最近の奴の湯上がりデザートは…冷たいアイスと………。
【「お風呂」「湯上がり」「デザート」】


 見上げると青空。
 吹く風が足元の草原を水面のように揺らす。
 オレはその草原に溺れるような錯覚に囚われ、無意識にもがく。
 風に混じって、大好きな香りがした。
 オレはその香りに我慢出来なくなって、香りの元に走る。
 ただ、走る。
 オレの大事な太陽をこの腕に抱きしめるために。
【「草原」「水」「香り」】


 そいつをずっと眺めていた。
 赤毛の奴を思わせる長さの髪が、鬱陶しいとは思わなかった。
 閉じた瞼の睫毛が形作る影に。
 無言でそっと唇を近づける。
 そいつが急に目を開けて、見えたのは…俺のよりもずっと優しい紫で。
 退けるつもりが思わず唇を押し付けていた。
【「無言」「押し付ける」「睫毛」】


 伸ばしたのに掴めなかった手に。
 ずっとずっと後悔していた。
 それは光だったはずなのに。
 だからオレは待ち続けたんだ。
 ずっとずっと長い時を。
 あの時掴めなかったあの光に似た手が差し出されるのを。
 差し出されて掴んだ手の持ち主は、やっぱりオレの光だった。
【「似る」「待つ」「光」】


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 猫好き、爬虫類好き。でも、虫は全部駄目。
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