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くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
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 頭が真っ白になって…。
 目の前で、三蔵が、悟浄が、悟空が倒れて…。
 八戒は無意識に自分の妖力制御装置に手をかけ、外した。
 敵が倒れ、回りが静寂に包まれても、八戒の破壊衝動は収まらなかった。
 ただの物体と化した敵の屍を破壊する。
 暴走する、ってこういうことなんだろうか…頭の片隅で理性が冷静に思っている。苦しいけれど、その感覚はどこか恍惚とした抑揚で精神を蝕んでゆく。
 動くものに無意識に反応する。
 全身の蔦がその影に絡みつく。伸びた爪が獲物目掛けて振り下ろされる。
 紅い、色……。
「ばっ…かっ……八戒!!」
 それは男の色なのか、それとも……。
 鳩尾を力一杯殴られて力が抜けた一瞬に、八戒は制御装置を装着されて、意識を失った。


 八戒が意識を取り戻すとベッドに寝かされていた。
 目の前には悟浄がいる。
「悟浄! 三蔵は? 悟空は?!」
 がばり、と起き上がりきょろきょろと部屋の中を見回す八戒に悟浄は苦笑する。
「二人とも無事。お前が一番遅くまで寝てたんだぜ?」
「そう、ですか…」
 ほっとしたような表情で悟浄を見やって、八戒の顔が急に強張る。
 両腕に結構深い行く筋もの傷と首には、何かで…そう、蔦で締められたような、跡。
「オマエ、さ…。むやみやたらに制御装置外すんじゃねぇぞ?」
 傷に恐る恐る手を伸ばす八戒に、不機嫌そうな声で悟浄は言った。
「すみません……でした…」
 八戒は指先で傷に触れると、何か熱いものにでも触ったかのように、びくり、と手を引っ込めた。
「悟浄……僕が…怖くない、んですか……?」
 呟かれるその言葉に。
「オマエはオマエ、だろ?」
 悟浄はそれだけ言うと目を閉じてしまう。
 そんな悟浄に、八戒は救われた思いで、自分がつけた傷を治癒するために気孔を使った。



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