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くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
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 深夜の人通りの途絶えた街の中を早足に歩く。


 入った宿で運良く個室が取れたんで、食事がすむと俺は、酒場に繰り出した。
 隣に座ってたかわいこちゃんと意気投合してしっかり飲んだ後、その子の部屋にしけこんだのは…日付が替わる前だったか…。
 小さな部屋に一人暮らしだというその子のベッドに二人で飛び込んで、彼女が買い置きしてたのか前の男の忘れもんか知らねぇゴムを拝借して…たっぷりと楽しんだ。
 俺の胸によりかかるその子の重みと温かさに微睡んで、ふと目覚めたのは、彼女が寝返りを打って俺の上から退けたから、だろうか。
 もう一度彼女を腕の中に抱きこんで眠っても良かったが、朝帰りした時のあいつらの目を思い出すとどうにもそんな気分にもなれず、俺はそこを抜けだした。


 部屋に帰りつくと、狭くてそっけない寒ささえ感じるような真っ白なシーツのベッドが一つ。
 そのままそこに入る気もしなくて、シャワーを浴びる。
 それ以上、時間を潰す術を見つけられず、俺は仕方なくベッドに入った。
 小さなベッドの隅っこで身体を丸める。
 こうやって身体を丸めて眠るのは、なにかから自分を守りたいからなんだと聞いた覚えがある。
 俺は何から身を守りたいんだろう?
 これは、餓鬼の頃からの、癖。
 あのヒトから…あのヒトが振り上げる手から、自分を守りたかったのだろうか…。
 だったら、なぜ、今でもこの癖は抜けない?
 誰かの温もりが欲しい、から?
 夜の闇の中、独り寝で見る夢はいつも悪夢で………。
 
 窓の外が、ゆっくりと白んでゆく。
 早起きな小鳥たちが、新しい一日の始まりを楽しそうに告げる声がする。
 枕元の安っぽいデジタル時計を見ると、4時半過ぎ。
 闇が徐々に光に侵蝕されてくる部屋の中、俺は僅かな時間の微睡みに身を委ねた。




 6月12日に悟浄ブログにUPしたものを転載。
 これと「寝床」は、基本シチュエーションが同じなんですけど、こっちはノーマルです。
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夏風亭心太


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