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くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
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 それは小さな物から始まった。俺の煙草、ライター…。
「おい、俺のライター知らないか?」
 妻に聞くと、そんな物最初からなかったという。それから数日後、今度は灰皿が見えなくなったので尋ねると、あなた煙草なんて吸わないじゃない、と言われてしまった。
 ははぁ、俺に煙草をやめさせたくてそんなこと言っているんだな…俺は気にも留めなかったのだが…。
 ある日、会社から帰宅すると、いつも玄関に飾ってあった小さな時計がなくなっていた。
「おい、ここにあった時計どうした?」
 妻は不思議そうに首をかしげ、
「何言ってるんですか、ここに時計なんか置いてなかったでしょう?」
と、言う。そんなはずはない、今朝、その時計で時間を確認して出掛けたのだから…。そう言い募っても彼女は知らないの一点張りだった。
 何か隠しているのか…。金に困っている…? しかし俺は深く追及することはしなかった、所詮、時計一つの事なのだから…と…。
 それが間違いだったことはすぐにわかった。翌日、帰宅すると、生後半年になったばかりの娘がいなくなっていたのだ。それなのに、妻は知らないと…いや、こう言ったのだ。
「あなたに娘なんていないじゃありませんか」
 呆れたように言われ…俺が呆れた…まさか、自分が産んだ子供を忘れるなんて…。
 だが、実際におかしくなっていたのは妻なのか俺なのか…。
 おかしなことを言う妻を放っておいて俺は実家の両親や兄弟に連絡を取った。その結果は…俺には娘はいない…そんな馬鹿な…。

 それからは早かった…妻がいなくなるまでにそう時間はかからなかった…。つまり、妻は俺に嫌気が差し、家族を巻き込んで俺一人を騙し、家を出て行った…そういうことなのだろう…。

 ところが…それだけでは終わらなかった。妻もいなくなり、俺の物が少し残るだけの家の中から、相変わらず何かがなくなってゆき…とうとう、俺は家すらなくし…
 仕事もなくし………


「あなたという存在はありませんよ…」
 いつかどこかからそんな声が聞こえてくるような気がして俺は………。




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夏風亭心太


 酒、煙草が好き。
 猫好き、爬虫類好き。でも、虫は全部駄目。
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