くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
Category:最遊記
指が、冷たかった。
握るつもりはなかった、ただ、触れただけだった。
その冷たさに心が……騒いだ。
宿の部屋に入る。
いつものように、ベッドの上で横になった奴は、煙草に火をつけた。
「八戒と一緒だとできねぇし」
笑いながらそう言う奴に、先ほど感じた嫌な気配は感じない。
奴は煙草を消して、缶ビールを煽る。
夕方から降りだした雨が、窓をうるさいほどに叩く。
かたん、とサイドテーブルに置かれる缶の音が響く。
缶を離れる手を、思わず取っていた。
「冷てぇ……」
また、心が、騒いだ。
「なんなんだよ」
奴はうるさそうに俺の手を振り払い、ごろり、とベッドに横になった。
何日も野宿が続き、誰もが疲れていた。
それは、わかっている。
俺も、疲れきっていた。
それでも。
いや……だから。
横になった奴のうえに、俺は乗った。
そのまま、胸に耳を押し付ける。
「なんなんだよ。もしかして、そんな気分?」
どこか余裕を持ったように聞かれるが、俺は答えない。
生きてる。
指の冷たさに、彼の人の死を思い出した、など言えるわけもなくて。
奴の首がかすかに動く。
「そっか」
一言そう言うと、奴の両腕が俺の肩を抱いた。
俺は……ただ、奴の鼓動を、聞いていた。
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夏風亭心太
酒、煙草が好き。
猫好き、爬虫類好き。でも、虫は全部駄目。
夜が好き。月が好き。雨の日が好き。
こんな奴ですが、よろしくお願いします。
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