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くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
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 とかく、軍人というものは。
 プライドがある。強いと言う自負がある。それが厄介だ。
 守られてもいい、という謙虚さがない者を守るのは、骨が折れる。

 ずっと拒み続けていた隊員の補充があるらしい。それも、僕の副官を、と。
 あのとき、もう誰も失いたくないと思ってしまったから、そんな立場の部下はいらない、と言っていたのに。
 僕が、元帥という地位にいながら現場にいるのがいけないのだ、と言われればそうなのかもしれない。
 それでも、指示だけ出して待ってることなど考えられなかったし、もしそれで誰かを失うことになるのも、怪我をさせるのも、僕には許せなかったから。
 だから、彼を失ってから、僕は一人、最前線に立ち続けてきたというのに。

 読むとはなしに本に埋もれて文字を追いながら、思い出すのは――。
 彼は真面目を絵に描いたような男だった。
 執務室を兼ねたこの僕の私室をいつも綺麗に整えて、大将という地位通りに隊を率いて先陣を切って。
 死んでしまった。
 僕の組み立てた戦略がまずかったのかもしれない。隊の力量不足だったのかもしれない。
 彼の力量を買っていたから、任せすぎたのかも、しれない。
 後悔と自責の念と。血の赤と。

 背にしたドアの前にたくさんの本がバリケードを築いていた。
 たぶん、ずっと、部屋を出て、いない。

 ふわり、と意識が浮上する。
 何が、あったのか。
「寝て、ました?」
 近くにあった気配に思わず問いかける。
 それへわからないと答えた後、その気配は男の声で、僕の名を呼んだ。
 ああ。この男が。
 浮上したばかりの意識をフル回転させて、男を観察する。
 どれだけ彼に似ている、か。似ていない、か。
 噂では、随分とふざけた男だと聞いていた。
 受け答えは確かにふざけているけれど。
 彼には、似ていない…いや…似ている?

 実際は、どちらだって構わないのだ。
 僕が見極めようとしているのは。
 彼がいかに優秀な軍人で、僕の手足となって動いてくれるか。
 守られてくれるか。

 それだけなのだから。




コピー本、58KTで書こうとしてなんとなく書いたSS。
これの返信に当たる捲簾の文章がどう考えても納得行くの書けなくて、本は58になりました…。
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