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くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
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「悟浄、何か欲しい物あります?」

 便箋を目の前に置き、ペンを握った八戒にいきなり聞かれた。

「へ?」
「クリスマスじゃないですか。悟空がプレゼント、と騒ぐので、ね。セント・ニコラウス…いえ、サンタクロース、ですか…に、手紙を書いているんですよ。貴方のもお願いしてみようか、と」
「…さんたくろーす? 何、それ?」

 え?
 という顔をされた。

「知らないんですか、サンタクロース? もしかして、クリスマスも?」
「クリスマスは知ってけどな。プレゼントは、女には貰った事あっけど」

 知らないわけじゃ、ない。
 ガキの頃、近所のガキどもが賑やかに話してるのは聞いてた。
 けど、俺には関係ないことだったから。
 サンタが来んのは、イイコのとこだけ。俺は…母親を喜ばすこともできない、いつも悲しませるだけの存在だったから。
 関係ないもん、だった。

 だから、知らないもん。
 んな過去、言ったって仕方ねぇし。
 知らないって言っちまうのが簡単だろ?

「お前さ、クリスマスパーティとか、もしかして考えてる?」
「そうですねぇ。悟空と三蔵呼びますかねぇ。楽しいですよ、きっと」
「そいつは勘弁してくれ。俺はいつもの……」

 ふと、八戒の書きかけの便箋の文字が目に入る。

『彼女が天国で笑顔でいてくれますように。その様子を夢で見せてください。』

「仲間との楽しい時間…」
「え?」
「俺が欲しいプレゼント。そう、書いといてよ」

 八戒はにっこりと笑うと、俺の言葉をその手紙に付け足した。

「悟空の希望が書いてねぇけど?」
「ああ。悟空は大きなケーキを食べたい、と言ってましたからねぇ。僕が作りますよ」
「じゃ、俺、手伝うわ」

 楽しいクリスマス、か…。
 サンタクロースなんざいなくたって、いいんじゃねぇの?



 八戒を拾って初めてのクリスマス、だった。


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