くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
Category:NoiRouge
ひらり、ひらり、と。
白いものが舞っている。
それはまるで…天界の櫻のよう、だった。
冷え込んできた毎日に着る服がなくて、悟浄のセーターを借りた。
真っ白なタートルネックのセーターは暖かいが、あいつの背が高い分だけ袖が余って、手の平が隠れてしまうのが、癪に障る。
それでもそれを手放せないほどには寒かった。
服を買いに行くか?
そう言われたが、断った。多分、長らくこの場所に留まれないから。
それでも一緒に過ごしていく毎日の中で、俺のものは増えていた。
こうやって降り積もって行く雪のように。
あいつの中にも、こうやって積ってゆくのだろうか、俺との思い出とかいうやつが。
セーターから出した手の平に雪片を受ける。
それは一瞬だけ刺すような冷たさを残して、消えた。
「雪、珍しいの?」
背後から声をかけられる。
振り返ると、悟浄が寒そうに肩を竦めて立っていた。
「そう、だな。俺が住んでる場所では雪は降らないから、な。櫻の花弁が雪のように振るぞ」
「へぇ…それ、見てみてぇかも」
隣に並んで雪を見上げる悟浄の横顔を見る。
つめてっ、と顔を顰めて、笑っていた。
手の平に落ちて溶ける雪を見ている。
一瞬の冷たさのあと、何も残さず消えるその雪片に。
こいつの前から消える時は、俺もこんな雪片のように消えられたら、と思った。
いつまでも続かぬこの毎日を。
今だけは、積った雪につける足跡のように。
ここにいた記憶を刻み付けて。
降り積もる雪のように。
思い出を重ねよう。
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夏風亭心太
酒、煙草が好き。
猫好き、爬虫類好き。でも、虫は全部駄目。
夜が好き。月が好き。雨の日が好き。
こんな奴ですが、よろしくお願いします。
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