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くれないづきの見る夢は 紅い涙を流すこと 透明な血を流すこと 孤独にのまれず生きること
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「あ~…!」
 悟浄が食後の一服をしようとして、唐突に素っ頓狂な声をあげた。
「どうしました、悟浄?」
 八戒が悟浄の情けないような声に何事かと聞く。
「煙草が、ねぇ…」
「おやおや…」
 八戒は苦笑いをすると立って食堂のレジへと行き、何か聞いてきた。
「この店には煙草は置いていないそうです。それから…小さな村なので、コンビニもないと…。明日の朝、お店が開くまで禁煙ですね、悟浄」
 くすくすと笑いながら言う八戒を悟浄は睨み付けたが、こればかりはどうしようもない。
「なぁ…さん…」
「やらん」
 全部を言う前に言下に断られてしょげて見せるが、結果は変らずで、悟浄は不貞腐れたように最後の煙草に火を点けた。

 食堂を出て、宿へ向かう途中。イライラしながら歩いていた悟浄は自動販売機を見つけた。
「やった、自販機あるじゃん…助かったぁ…」
 走るようにして自動販売機の前に行くと、ポケットの中を探って小銭を入れ、くすんだ水色の煙草のボタンを押す。
『タスポをタッチしてください』
 無表情な女性の声。悟浄は軽く首をかしげ、もう一度ボタンを押すが、同じアナウンスが流れるだけ。
「なぁ、八戒…タスポってなんだよ……」
 その頃になってようやく追いついてきた三人に向かって情けなさそうな顔をした悟浄が、一番物事に精通していそうな八戒に向かって困り顔で聞いた。
「成人識別カード、ですか…。煙草とパスポートをかけて、タスポ、と言うらしいですね」
「持ってる?」
「僕が、ですか? あるわけないじゃないですか、僕は煙草吸いませんから」
 ニッコリと笑って言われればその通りで。今度はその視線を三蔵に向ける。
「必要ねぇもんは持たねぇ」
 いつもの不機嫌な表情で、これ見よがしに煙草の煙を悟浄に吹きかけた。
「三蔵、お前な…わざとやってるだろ…」
 じろり、と睨んでも三蔵は知らん顔で煙草を吸い続けている。ちょっと縋りつくような視線を悟空に向けるが、ため息をついて諦めたように返金ボタンを押した。
「悟空は…成人じゃねぇもんなぁ…」
「悟浄、ここに申し込み用紙ありますよ?」
 目ざとく自販機に備え付けられている用紙を発見した八戒が手に取ってみる。
「写真と…身分証明書が、いるみたいですね…」
「おい、宿に帰るぞ」
 用紙を前に話し始めようとする悟浄と八戒に声をかけて歩きだす三蔵を悟空が追って行き、八戒はその用紙を持ったまま、後を追う。
 悟浄は暫く恨めしそうに自販機を眺めた後、仲間の後を追った。

 4人部屋で落ち着くと、八戒と悟浄は改めてタスポの申し込み用紙に目を通す。
「写真はいいとして…身分証明書? 俺、住民票なんてあったかな?」
 困惑したように悟浄は呟く。手が無意識に煙草を探り、ないことに気付くと舌打ちをした。
「八戒は? 免許とか持ってるんだろ?」
「僕は、無免許です」
 しれっと言う八戒。
「車なんてこの桃源郷じゃ見かけないじゃないですか。当然、自動車学校もないですし、免許センターもないでしょう?」
 言われればその通りなのだが、あまりに悪びれない様子に悟浄はため息を吐いた。
「大体さ、その身分証明書ってなんなんだよ?」
 悟空が二人の手元を覗き込んで聞いた。
「免許証、保険証、年金手帳、住民票、などのことですね」
「俺達には縁のないモノのような気がする…」
「僕らの中で持ってそうなのは…」
 一人、我関せずで新聞を読んでいる三蔵に三人の視線が向く。
「三蔵と悟浄のために、一枚持っていると便利なんですけど、ねぇ。ねぇ、三蔵?」
 八戒が立ち上がって申し込み用紙を持ち、三蔵の前に立つ。差し出された用紙を一瞥した三蔵は、悟浄に見せびらかすように新しい煙草に火を点けると、ふん、と鼻を鳴らした。
「必要ねぇ…。だいいち、こんなところで二週間も足止め食らってたまるか」
 最後の一行に目を留めた三蔵が切り捨てるように言ってそれ以降は取り付く島もなく、話は立ち消えになってしまった。

 それから暫く後…。
 またまた小さな村に滞在した一行。
 遅くに到着して、閉店寸前の食堂でやっと食事にありついた後のこと。
「……八戒、煙草を寄越せ」
 食後の一服、と袂を探った三蔵が煙草のないことに気付き、八戒に声をかけた。
「…夕方にお渡ししたので最後だって、言いませんでしたっけ?」
 困ったような八戒の顔に小さく舌打ちをして、三蔵は悟浄に手を出す。
「おい、河童。お前の煙草で我慢してやる。出せ」
 しょうがねぇなぁ、と思いつつそれを声には出さずに悟浄は三蔵に煙草を一本渡す。
 黙って火を点けて、一口吸った三蔵は一言…。
「…まずい…。八戒、煙草、買って来い」
「お前なぁ…」
 じろりと睨む悟浄を無視して三蔵は八戒に命じるが、近くにコンビニもなく、店にマルボロは置いていないと言われ、八戒は苦笑してそれを告げる。
「……宿に行くぞ…」
 宿のフロントにあるのではないか、と微かな望みがその声に聞こえ、三人の従者は苦笑して立ち上がった。

 宿へ行く道の途中。
「お? 自販機があるぞ、三蔵、マルボロもあるみてぇだ…」
 目敏く悟浄が見つけ、声をかける。
「八戒、買って来い」
 三蔵に言われ、八戒は自販機に向かった。
『タスポをタッチしてください』
 聞き憶えのある、無表情な女性の声。
「三蔵…」
 大きくため息をつく三蔵に八戒は苦笑する。

 三蔵一行がこの小さな村に二週間滞在したことは想像に固くない。





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 ざあざあという音に、意識が徐々に覚醒する。
 目を閉じたまま隣にあるはずの温もりを探し、その手が空を彷徨うのを不審に思い、悟浄はようやっと眼を開けた。
「…八戒…?」
 眠りについてそんなに時間は経っていないのだろう。外はまだ、暗い。
 ベッドの上の明かりを灯し室内を見回すが、自分の探す相手は見つからず、脱ぎ散らかした服もそのままに、八戒のシャツだけが消えていた。
 妙な胸騒ぎを感じて、悟浄はベッドから出る。投げっぱなしのジーンズだけを身に付けて、彼は狭い家の中、八戒の姿を探して歩いた。
 八戒のベッドルーム、風呂場、トイレ、リビング…。
「お~い、八戒~」
 キッチンに灯りが点いているのを見つけ、悟浄は間延びしたような声で八戒を呼びながらそこに足を踏み入れる。
「!! 何やってるっ!」
 小さいけれど良く切れるペティナイフを持ち、八戒はまるでそれに魅入られたかのように笑みさえ浮かべて刃先を自分の咽喉元に突きつけようとしているところだった。
 自分に走り寄る悟浄など見えないように、八戒の手は確実にみずからの命を奪う行為を遂行しようとしている。
 叩き落とすほどの間もなく、悟浄はナイフの刃を握り締めて八戒の頬を叩く。
 パンッ!
 痛みよりも思った以上に響いた音に八戒は驚いたような顔をして、はじめてそこに悟浄がいることに気付いたように焦点が徐々にあってゆく。
 ナイフを握った手に、生暖かいぬるりとした感触。紅く…紅く染められるその手に…八戒の体が震え出す。
 お互いが握ったままのナイフを八戒の咽喉元から離すように下ろさせ、悲鳴の形に開けられた唇を、悟浄は自分のそれで塞いだ。
 八戒の悲鳴を飲み込むようにキスを繰り返し、ナイフを握っていない方の手で背中を宥めるように軽く叩いてやる。
 暫くすると強張っていた身体から力が抜け、八戒は握っていたナイフを手放し、その場に座りこんでしまった。
 項垂れたまま座りこむ八戒を横目に悟浄はナイフをシンクに投げ出すと、手近にあったフキンで怪我をした掌をきつく縛って応急処置をする。
 それからキッチンペーパーを取って八戒のそばに戻ると自分の血で汚れた彼の手を拭いてやり、無理矢理に立ち上がらせて椅子に座らせた。
 雨音がざあざあと耳につく。暫く無言で何も置かれていないテーブルを見つめていた八戒が急に思い出したように顔を上げた。
「…悟浄…すみません…大丈夫ですか?」
「そりゃ、こっちの台詞だっつーの。お前が雨の日になると鬱になることは知ってたけどさ、なんでいきなりあんなことを…」
 まっすぐに見つめる悟浄の瞳を見返して、それから、つい、と目を逸らし、八戒は呟く。
「わかりません…」
「わからねぇ、って…お前、自分の命を捨てようとして、その理由もわからねぇ、っていうのかよっ!」
 自分に向けられる刃なら撥ね退けられるし、その思いがわかれば甘んじて受け入れることもできる。事実、もう記憶の彼方になってしまった過去、自らその刃を受け入れようとしたことも、悟浄にはあった。
 けれど、その刃を自分に向ける相手には、どうしてやればいいのか皆目検討もつかない。ただ、無性に悲しく感じるだけだ。その悲しみが、荒い語気となって吐き出される。
「…幸せだから、なのかもしれません…」
「………は?」
 呟いた八戒に、悟浄は思わず間の抜けた声で聞き返す。そして、それが八戒の死にたくなった理由だと気付き、愕然とした。
「な…んで…?」
 八戒を拾ったあの日から、魅せられていたのは間違いなく自分だ。だから、八戒が過去に飲まれないように、苦しまなくて良いように、いつもそれだけを考えて、包みこんできた。なのに、そんな悟浄の心さえ、八戒は苦しいと言うのだ。
 ざあざあと雨の音だけが二人の空間を埋める。
「…悟浄…。僕は、ここに居てもいいのでしょうか…。ここで…こうして…生きていてもいいのでしょうか…」
 どこか縋りつくような目をして、八戒は悟浄を見上げた。
 ここが地獄じゃなくて残念だったな……そう言った悟浄の言葉に驚いたような顔をして見せた八戒……それで良かったのだと、薄く笑って見せたその顔が…悟浄の脳裏をよぎる。
「…お前さ…死にてぇの?」
 縋られることを拒むかのように、悟浄は視線を逸らした。手を差し伸べるのが怖かった。
「わかりません…それすら…」
 自分が何故生きているのか…どうしてあの時に死んでしまわなかったのか…その答えを与えてくれるのは目の前のこの紅い色を持つ男なのだとでも言うように、八戒は悟浄を見る。
 苦しげに見つめるその視線が痛くて、悟浄は八戒を見る。
「…生きてるの、苦しい…?」
「苦しくは…ないんです…。だから…余計に辛いのかもしれませんが…」
 ふい、と今度は八戒が視線を逸らせた。
「僕は生きて…もっと苦しむのだと思っていました。なのに…僕に待っていた世界は…こんなにも……」
 ふっと落とした八戒の視線は自分の手を見つめている。血塗られた、その手。拭いきれなかった悟浄の血が、掌にまだその赤みを残している。
「ここが、地獄の方が良かった?」
 悟浄が八戒の肩に手を置いて自分を見るように促し、その瞳を覗き込むようにして問う。
 揺れる瞳の色が、その答えを如実に物語っていた。
 地獄のような責め苦が待っていてくれた方が、八戒にはきっと救いだったのだろう。それを…裏切ったのは自分だ、と悟浄は思う。
「ここは…地獄だから…」
 儚く揺れる瞳を見るのが辛くて、悟浄は八戒を抱きしめる。
「お前を…じわじわと責める…生ぬるい…幸せと言う名の…地獄…だろ?」
「…悟浄…?」
 戸惑うような八戒の声に悟浄はその抱きしめる腕の力を強めた。
「だからさ…この世の地獄…俺と一緒に生きてくれよ…」
「悟浄…」
 八戒はおずおずと悟浄の背中に手を回す。
「はい…悟浄…」
 思いのほかしっかりと抱き返されたことに驚いた悟浄は、抱きしめた手を自分の顔に持ってきて鼻の頭を掻いた。
「あの世の地獄に行く時は…一緒に行くから、さ…」
「…それは…」
 悟浄の言葉に驚いたように身体を離す八戒をさらにしっかりと抱く。
「そうさせてくれ…これは…俺の我侭かもしんねぇし…口約束だけだ、って言われたらそうかもしんねぇけど…この世でお前を付き合わせるんだ。それくれぇのこと、させてくれよ…な?」
「…はい…」
 外は雨が降っている。悟浄は八戒の肩に腕を回して、引きずるように歩きだした。
「まぁだ暗いし、もう一回寝ようぜ」
 ベッドまで向かうその廊下は…二人が歩く地獄の道。
 それでも…幸せな、道。
 地獄まで…二人一緒に……。





「行こうぜ」
 八戒に手を差し伸べて悟浄が誘う。
「雨、降っていますよ?」
 いつもの笑顔で、それでも、どこか辛そうな表情を浮かべた八戒は窓の外を見て躊躇うように言った。
「だから、さ」
 乗り気になれないらしい八戒の手をひいて立ち上がらせると、悟浄は先に立つようにして、玄関の戸を開け、八戒が自分の隣に立つのを待つ。
 期待に満ちた、どこか悪戯っ子にも似た表情で見つめられ、八戒はしぶしぶと言った様子で、傘を手に悟浄に並んだ。
「傘は…」
「ささないのなら、出かけませんからね」
 いらない、と言おうとした言葉を全部言わせず、八戒が悟浄に押し付けたのは淡い翠のビニール傘。八戒が手にしているのは、色気のない透明のそれ。
 バタバタと雨が傘を叩く音に顔を顰め、それでも、自分を包む色が八戒の瞳と一緒なことが嬉しくて、悟浄は機嫌の良さそうな笑顔を浮かべる。傘をさし、ぼんやりと雨粒が傘に落ちる様を眺めている八戒の腕を取り、彼が何かを言うのも構わず、悟浄は歩き出した。
「どこに行くんですか…」
 引っ張られながら、八戒はようやくそれを口にする。行き先も告げられず、ただ、出掛けようと言われて家を出たものの、悟浄が向かった先は彼らが普段行く町とは反対の方角で、そちらに行っても、その道は小さな池で行き止まりになっているはずだ。
「どこでもいいのよ、お前と一緒なら」

 行き止まりの池。雨の波紋を眺めて、二人は暫く傘を叩く雨の音に包まれる。
 八戒が見ているのは…聞いているのは…忘れる事の出来ない、重すぎる過去。
 悟浄が見ているのは…聞いているのは…
「俺…兄貴がいるんだわ…」
 雨音にかき消されそうな小さな声。自分の思いに沈み込みそうになっていた八戒は正気に返ったように悟浄を見る。
 あんな町外れの家に一人でいるから天涯孤独なのだと思っていました…言いかけた言葉を飲み込む。
「もっとも、生きてんだか死んでんだか…わかんねぇんだけど、さ…」
 思い出すのは、自分を死ぬほど殴った母親と、彼女を慰める兄の背中。母親の女の声と…ベッドの軋む音…。それが何を意味するのかわからないほどには子供ではない自分が居たたまれなかった。いつも、薄汚れた毛布に包まって耳を塞ぎながら、雨が降るのを待っていた。雨音はすべての音を隠してくれるから…。
 誰にも言ったことのない、言えない思い。
「俺さ、雨に濡れんの好きだって言ったことあるよな?」
 何かを吹っ切るように悟浄がことさら明るい声で言う。
「え? ええ…」
 急に振られた言葉に八戒は少し戸惑ったように返事をする。
 バタバタとうるさく傘を叩いていた雨が少し小降りになり、パタパタと可愛い音になったのを聞くと、悟浄はさしていた傘を畳んで八戒に投げ、雨を落とす空を見上げて目を細めた。
「悟浄?! 濡れますよ…」
「いいんだよ、濡れたって。好きだ、って言ったろう?」
 悪戯っ子のように笑って自分を見る悟浄の目が、少し潤んでいるような気がして、八戒は、はっとする。
「…悟浄?」
「雨ってさ…あったけぇと思わない?」
 心配そうな表情をした八戒から自分の顔を隠すように、悟浄はプイ、と背を向けた。
「暖かい?」
 悟浄の言っている意味が理解できないのか、八戒は同じ言葉で問い返す。
「そう。すごくあったけぇの。聞きたくない音を消して…」
 聞きたくない音…声…自分が屠ったたくさんの命の断末魔…かき消された…記憶…なのに、彼女の…花喃の小さな小さな自分に向けられた囁きは、彼女が自分でナイフを刺したその音は…消えなかった…。
「それにさ…」
 八戒がそうは遠くない過去を思い出して、その中に沈み込みそうになることに気付いてか気付かずか、悟浄は言葉を続ける。
「俺自身の嗚咽も…涙も…隠してくれる…」
 ずっとずっと…いつも泣きたい子供時代を過ごして来た自分。泣いてはいけないと禁じてきた自分。泣きたい気持ちが高まると…毎日毎日、空を見あげてきた…自分。雨が降ると、その中に飛び出していって、兄が迎えに来るまで、一人泣いていた自分…それでも、泣いてなどいないと、言い張っていた自分…。

 ただ…雨だけが自分を包みこんでくれたのだ、と悟浄は語る。

 それから、八戒の元につかつかと歩み寄ると、彼の手から傘を奪った。
「悟浄!」
 驚きで拒絶することも出来ず、傘を奪われた八戒も悟浄と一緒に、雨に包まれる。
「返してください」
 悟浄は、取り返そうとする八戒を軽くいなして畳んだ二本の傘をすぐには手の届かない場所まで放り投げ、取りに行こうとする彼の手首を掴んで、自分の側に引き寄せるとその身体を抱き込んだ。
「…泣けば?」
 囁くように悟浄は言う。
「ずっとずっと我慢してるお前を見るの…俺だって辛いんだ…。それでも、泣けないってんなら…昔の俺みたいに…雨の中、泣けば? 兄貴みたいに、お前の場所はここだって、俺が迎えに来てやっから…無理なんかすんなよ」
「僕は…無理などしていません…離してください、悟浄…」
 こうやって、暖かく包まれる資格など自分にはないのだから…雨にも、もちろん、悟浄にも…。
 それでも、言葉でしか拒絶できないのはそこがとても居心地が良くて、離れたくはないと思う自分の心の弱さだと、八戒は痛いほどに自覚していた。
「だぁめ…」
 悟浄は額を八戒に押し付けるようにしながら、それだけを言う。その声が少し涙ぐんでいるように感じられて、八戒は恐る恐る手を彼の頭にあてて、撫でた。
「…泣いているんですか? 僕の、ために…?」
 八戒の言葉を否定するように、悟浄の頭は左右に振られる。
「泣いてる…さ…」
 けれど、彼の口から漏れる言葉は肯定で…。八戒は、悟浄を抱き返していた。
「…泣いてる、けど…お前のため、じゃねぇ…よ…」
 それは嘘だった。愛を知らない自分より、愛を知って失った八戒の方がどんなに苦しかったか。自分よりも重い物を持って、それでも強がって歩き続けようとする八戒の心がどれだけ痛いのか。変われるものなら変わってやりたいと、その重荷が半分になるのなら一緒に背負ってやりたいと…思っても、それを口に出しても、きっと拒絶するだろう八戒の心の闇を知っていて、悟浄は泣いていた。
「…お前のため、じゃねぇけど…お前のせい、かもしんねぇ…」
「悟浄…?」
 言われている意味がわからなくて、八戒は悟浄の身体を引き剥がすようにして、顔を覗き込む。
「お前と出会えて、一緒に生活して…今まで一人だった自分がなんだか信じらんなくて…きっと…嬉し泣きだ」
 泣きながら、悟浄は笑って、八戒を見た。
「今は、さ…お前はここで悲しみの涙を流してればいいと思う。でもさ、いつかは…俺と一緒に嬉し泣き、してくんねぇかな?」
 誰かのために、ましてや八戒のために泣くことなんて出来ないから…だから、笑っていたいと思う。いつか、一緒に嬉し泣きが出来るその時まで…。
 八戒は雨を落とす空を見上げる。その瞳は、眼鏡のレンズに隠されてはっきりとは見えないけれど、彼もまた、泣いていた。
 悟浄はその肩に腕を回し、ちょっとその顔を見やってから、自分も空を降り仰ぐ。
 二人、並んで肩を組んで…空を見あげ…雨が止むまで、ずっと泣いていた。
 





 タバコの匂いの染み付いた布団に包まれて、八戒は目覚めた。
 ぼんやりと見あげると、心配そうな顔をした悟浄と目があい、うっすらと微笑んで見せる。
「ったく。具合が悪いならそうだと言えよな。心配すんだろうがよ」
 ぶっきらぼうに言う悟浄の身体は雨に濡れた服をいまだ纏ったままだ。
「…ああ、僕…倒れちゃったんですね…」
 雨に塗り込められた記憶の中で溺れそうになって、悟浄に抱きしめられて意識を手放したのだと思い出す。
「いつからだよ」
 ポケットから取り出したタバコに火をつけようとしてそれが濡れていることに気付いた悟浄は、舌打ちをしながら買い置きのタバコに手を伸ばした。
「何が、です?」
 起き上がりかけて、体に力が入らないと知った八戒は、もう一度頭を枕の上に戻しながら、そんな悟浄の様子を見ていた。
「熱…いつからあった?」
 人のことはとやかく言うくせに、自分のこととなるとまったく無頓着になる同居人に悟浄は咎めるような視線を投げる。
「さぁ…? あなたを送り出したときには…なかったと思うんですけど…」
 八戒を蝕む心の闇はその身体にまで変調をきたすほどのものなのか、そう思うと悟浄はやるせなく感じてしまう。本当に放っておくと、八戒は寂しさで死んでしまいそうで、それを恐ろしいと思った。
 孤独で人は本当に死んでしまえるのではないか、と八戒は改めて実感した。
 二人の間に沈黙が落ちる。ざあざあと煩いくらいに雨の音が聞こえている。
「悟浄…?」
 沈黙を嫌うように八戒が声をかける。
「なんだ?」
 短いけれど、確実に返ってくる声に安堵して、それから、何を言うべきか考えた。悟浄が八戒の次の言葉を待って、タバコの煙をことさらゆっくりと吐き出す。
「着替えないんですか? 風邪、ひきますよ?」
 ぽたぽたと水滴さえ落ちそうなほど濡れて悟浄がそのままでいるのに、八戒は心配そうに声をかける。
「そんな、ヤワじゃねぇよ」
 悟浄はニヤリと笑ってみせる。
 ガキの頃から、雨に濡れるのには慣れている。泣きたい気持ちが溜まってくると、雨が降るのを待って、いつも外に出た。水滴が、涙を隠してくれるから、雨音が、嗚咽を消してくれるから…。
 そんなこと、誰にも話したことはないけれど…いつか、八戒になら話してもいい、そんな気になっている自分に悟浄は少し驚いている。
「でも…二人で寝込んじゃったら、目も当てられませんよ?」
 八戒がそれでも心配そうに言いながら起き上がりそうな気配を見せたので、悟浄はもう一回おどけたように笑って見せた。
「お前が、寝たら、な。シャワーでも浴びるさ」
 それでも、髪からぽたぽたと落ちる水滴は煩いのだろう、手近にあった脱ぎっぱなしのTシャツで髪を拭った。
 相変わらず、雨は降り続いている。
 寝たふりでもして、悟浄にシャワーを浴びさせた方がいいのかもしれない、と思いつつ、八戒は目を閉じてしまうことに恐怖を感じている。
「どうして…僕はあなたのベッドにいるんでしょう?」
 八戒はぼんやりと、目覚めた時から疑問に思っていたことを口にする。
「そりゃ、お前…」
 唐突な問いかけに、悟浄は驚いたようで、しばし言葉に詰まった。
「俺が、お前の服まで濡らしちまったし。濡れた服のまんま、ベッドに入れるわけ、いかねぇだろうが。かといって…お前の服、脱がしちまうわけにも…」
 好きで好きで欲情さえしかけている相手の服を、いくらそうする気はないにしても、脱がしてしまって自分を押さえていられる自信がなかったから、とは言えなくて、すっかりしどろもどろになって悟浄は答える。それでも、律儀に答えを返そうとする自分に苦笑しながら。
「…らよかったのに…」
 ポツリと漏らされた八戒の言葉は中途半端にしか悟浄の耳に届かない。
「え? なに? なんだって?」
 何か凄いことを言われたような気がして、悟浄は聞き返した。
「脱がせてしまえばよかったのに、と言ったんです。だって、悟浄、あなた、そうしたいと思っていたんじゃないんですか?」
 八戒からのとんでもない言葉に、悟浄は噎せる。
「おまっ…なに言って…っ!」
 ずっと隠し続けてきたはずの心の内を読まれたようで、悟浄は慌てた。
「僕が、知らないとでも? 気付かなかったと、本気でそう思っているんですか?」
 慌てる悟浄を少し面白そうに見ながら、八戒は言葉を続ける。
「僕なら…いいのに…」
 いいって、何が? 問いかけた言葉を悟浄は飲み込む。
 そういう関係になってもいい、と言っているのか。それとも、僕などどうなってもいいのだ、と言っているのか…。
 その答えは、目の前にある八戒の顔ですぐにわかる。
 悟浄は切なくなって、八戒の顔を凝視した。彼が言いたいのは、間違いなく、後者の方だ。
 沈黙が二人を包む。雨音が聞こえる。

 悟浄は八戒が次に何かを言い出す前に、吸っていたタバコを灰皿に投げ込むと、服を脱ぎ始めた。
「ちょっと、悟浄、何を?」
 そのいきなりの行動に八戒は慌てる。
「風邪ひくから脱げ、っつたのお前だろ?」
 慌てる八戒を尻目に、悟浄はさっさと上の服を脱ぎ捨てると、ズボンへと手をかけた。
「言いました、言いましたけど…着替えも出さないでどうするんですか? それに…シャワーも浴びた方が…」
 今度こそ起き上がって、何かの行動を起こそうとする八戒に悟浄は声をかける。
「お前も脱いじまえって、その濡れた服」
「えっ?」
 すっかり生まれたままの姿になった悟浄がとんでもない事を言い出した。
「あ…ぼ…僕、部屋に帰って着替えて休みますから、悟浄も…」
 急に立ち上がったせいで眩暈でも起こしたのか、ふらつく八戒の身体を悟浄がしっかりと支える。
「…いいから…」
 支えた手はそのままに、悟浄の指は器用に八戒の服のボタンをはずし始めた。
「ちょっ…悟浄! 何を!!」
 暴れる八戒の身体を押さえつけるようにして、悟浄は彼から濡れた服を脱がせていく。
「誘ったの、お前だぜ?」
 耳元で囁かれて、硬直してしまった八戒を自分と同じ姿にすると、悟浄はその身体をベッドに投げ込んで、自分もそこに横になった。
「こうするとな、あったけーだろ?」
 何をするでもなく、大切な壊れ物でも抱くように八戒の身体を自分の身体で包み込む。
「もう、独りじゃねぇ、だろ?」
 優しく囁く。なす術もなく、硬直している八戒を優しく労わるように、声をかけつづける。
「俺が、いるから…俺が、守ってやるから…雨の日は…」
 くすり、と八戒が笑った。
「雨の日、だけですか?」
 いつの間にか、緊張を解いたらしい八戒のその声に、悟浄は安堵のため息を漏らす。
 何をするわけでも、されるわけでもないけれど、こうしてすべてを委ねようとしてくれている彼を、本当に愛おしいと悟浄は思う。
「雨の日も、晴れた日も、ずっとがいいの?」
 それでも八戒の真意を測りかねて、悟浄が問う。
「さあ。どうでしょう?」
 もう一度八戒が、くすり、と笑う。
 ざあざあと雨音が聞こえる。それよりも、抱き合った相手の心臓の音が聞こえる。

 もう、自分は一人ではないんだ、と教えてくれる悟浄の音。
 自分を拒まず、自分の思いを受け入れようとしてくれている、八戒の音。
 相変わらず、熱は高いままで、辛いのだろう、八戒はウトウトと眠りに落ちる。
 悟浄はそれを愛おしげに見やって、微かに笑う。
 背中を押してくれた彼女に礼を言いたい、いっそのこと、抱きしめて愛を叫んでやりたい。
 そんなことをしたら、八戒は怒るだろうか。
 今はまだ、彼は自分に対して受身でしかないだろうけど、いつか、嫉妬してもらえるくらいにまで、自分に溺れさせてみたい、と思う。
 雨音は聞こえなくなっていた。いつの間にか雨はあがっていた。
 今度雨の日、八戒を誘って泣きに行ってみるのもいいかな、と悟浄は考える。
 そんなデートなんて聞いたことないけど。
 そこで、自分のガキの頃のことを話して、雨が好きなことも話して、お互いに孤独じゃないんだ、と嬉し泣きが出来たらいい。
 そんなことを考えながら、もう一度八戒をしっかりと抱きしめなおして、悟浄も眠りに落ちた。





「今夜は帰らねぇから」
 出かけようとすると、八戒がついて来たから、俺はそう言った。
「はい…」
 ドアを開けて空を見る。今にも一雨きそうな感じだ。俺たちの間の空気が一気に湿った感じがした。
「傘、持たなくていいですか?」
 何かを言いたくて言い出せない、そんな顔で八戒が聞く。
「いらね」
 雨に濡れるのは嫌いじゃない、いつかそう言ったら、すごく不思議そうな顔をされたっけ。
「そうやって、濡れた服を乾かすの、僕の仕事なんですからね?」
 笑顔で言う八戒の、でもその瞳に浮かんだ寂しさを見ちまって俺は、つい、と視線を逸らす。まっすぐに見つめたら…出かけられなくなりそうで…。
「…いってらっしゃい…」
 空の色と同じような顔をして八戒が言う。言いたいことを飲み込んで…。
「ん…」
 言葉にされなかったその思いを知りながら、俺は家を出た。

 いつだったろう? 一緒に暮らし始めて、まだ日も浅かったあの、雨の日。
 八戒は雨の日に一人になることを怖れているように感じられた。
 あの日、いつものように夜半過ぎに帰ってみると、八戒は一人、灯りもつけないキッチンでポツンと座っていた。
 俺が声をかけると、今にも死んじまいそうな目をして、どこか遠くを彷徨うような目をして、そして、俺に縋るような目をして…
 ウサギ、だっけ? 寂しさで死んでしまう、という生き物…まるでそんな風で。
 それ以来、俺は雨の日に出かけることをやめた。
 一緒にいてやれば、八戒はいつもの八戒で…それでも、どこか泣きそうな目をして、何か言いたそうな顔をして、何かに縋っていなければ、生きていることさえ出来ない、そんな感じだった。
 ただ、俺がいるから、俺しかいないから、だから俺に甘えてるんだろう、とわかってはいる。
 けど、いつからだったろう…俺は、そんな八戒に、同居人、以上の感情を抱くようになっていた。
 相手は男だし、そんな感情を抱くのなんて間違ってるってわかってても、それはどうしようもなくて。
 雨が降った日には自分がとんでもないことをしてしまいそうな予感がしたのは、そうは遠くない過去。
 だから…俺は、雨が降るとわかっていて、家を出た。

「もう、いいって…」
 俺は、自分の足の間に身体を埋めて、一生懸命に奉仕をしてくれてる女に言った。
 彼女の心づくしの奉仕にさえ、元気にならない自分が少し情けない。けど、彼女はそんなこと、気にもしてないようだった。
「彼の、こと?」
 軽くため息をついて、彼女が顔を上げ、俺が腰掛けているベッドの横にならんで腰を下ろす。

 家を出ても、特に行くところがあったわけじゃなく、俺はいつのも店へと足を運んだ。
 そこで、なじみの娼婦に出会い、今夜は帰るところがねぇんだ、とおどけて言うと、彼女は自宅へと俺を誘った。
 彼女とはけっこう長い付き合いだ。ごろつきに絡まれてるところを助けてやって、それから、金銭授受なしで付き合ってくれる。俺よりも少し年上の彼女は、姉貴のような存在で、俺が自分で気付かなかった八戒へも思いに形を見せてくれたのも彼女だった。
「あんた、その彼に、恋、してんじゃない?」
 そう言われたのはかなり前だったように思う。それ以降も悪びれず、俺に付き合ってくれる彼女に、俺はすっかりと甘えてしまっている。

「まだ、思いを遂げてないんだ? 珍しいね、悟浄」
 横に並んだ俺の頭をポンポンと叩きながら、彼女は軽い口調で言う。
「ま、本当に欲しいものって、中々手が出せないよね?」
 今度は頭を抱きしめられる。
「そんなんじゃねぇよ…。ただ、あいつも俺もオトコだし…」
 俺はされるがままになりながらポツリ、と呟いた。
「性別なんて関係あるの? あんた、あの彼が大事なんでしょう? 好きなんでしょう? したいんでしょう?」
 彼女の言葉は容赦がない。俺に媚を売るわけでもなく言われる言葉が心地いい。
「そりゃね、押し倒しちゃったら? なんて言わないけど、ね。今のあんたって、見てて歯がゆくなるんだよね。好きなら好きって、大事なら大事って言ってあげなきゃわからないんじゃない?」
 顔を覗き込まれて、俺は視線を逸らす。そうすることが出来たら、どんなに楽か…。
「玉砕したら、アタシが慰めたげるから。それにね、彼、あんたのことが嫌いなら、一緒に住んでたりしないと思うよ? あんたって凄くルーズだから、一緒に暮らすの大変そうだもん。なんかなきゃ、すぐにでも出て行くんじゃない?」
 彼女の言葉に縋りたい自分がいる。
「ほ…ホントにそう思う?」
 俺は顔を上げ、まっすぐに彼女を見た。
「もう…余裕がないねぇ」
 俺のマジな顔に彼女は苦笑する。
「ま、いつまでもうじうじしてるのってあんたらしくないし、それに、ずっと隠し通せるもんでもないんじゃないの? 言っちまいなよ」
 今すぐにでも、と彼女は言った。
 雨の日、弱ってる八戒に、その弱みにつけこむように? そんなこと…。
「相手があんただから、見せてる弱みじゃないの? だったら、それでもOKだと思うんだけどなぁ…」
 雨の日…三蔵や悟空が来ている時には、そういえば、八戒はあんな顔はしない。
 外の雨の音がやけに大きく聞こえ、今にも泣きそうに、何か言いたそうに俺を見る八戒の顔が脳裏に浮かんだ。
「俺…帰るわ」
 立ち上がった俺につられる様に彼女も立ち上がる。
「あ、言う気になった? 発破かけといてなんだけど、さ。焦んないでね」
 戸口に向かう俺の後ろをついてきながら、彼女が言う。
「悟浄、傘は?」
「いらね」
 戸口で手を振る彼女に背中を押されるように、俺は雨の中、八戒の待つ家に向かって走り出した。
 大事だって、一緒にいたいって、雨から守ってやりたいって、言うために。

 帰ってみると、キッチンにだけポツリと灯りがついていた。眠れないでいるのだろう、と覗いてみると、八戒がラジオの前で立ち竦んでいる。
「八戒」
 声をかけるが、俺が誰だか…いや、自分が誰かさえわからないような顔で、ぼんやりとしている。
 その心はどこか遠くにあるようで、俺は怖くなって奴の肩を力いっぱい掴んで、呼び戻すように大きな声をかけた。
「おい!! 八戒っ!」
 ふっ、と八戒の視線が俺を捕らえたことに安堵する。
「…悟浄…? 今夜は帰らないんじゃなかったんですか?」
 不自然に逸らされた視線に、八戒が俺を待っていてくれたと知って、少し嬉しくなる。
「そんなに濡れて…その服、洗濯して乾かすの、誰だと思っているんです?」
 それからすぐに俺に向けられた視線はいつもの負けん気の強さを示すような色を湛えていて…。それでも、今にも泣き出しそうに見えた。
「わりぃ…」
 いきなりこんなことをしたらこいつはどう思うだろう、とかそんなことを考えるよりも先に俺は八戒を腕の中に抱き込んでいた。
 八戒が口に出す言葉よりも、本当はいいたい事が別にあるのだとわかっているから。
「ちょっ…悟浄! 僕まで濡れちゃうじゃないですか!」
 一瞬、何をされたのかわからないような様子で、八戒の動きが止まる。それから、慌てたように俺から逃れようとするその身体を離さずに、小さく囁いた。
「いいから…強がんなくても、いいから…」
 お前の本当に言いたい事を言って? 俺の感情と違っていても構わないから、もっともっと、俺に甘えて?
 そっと、頭を撫でてやると、八戒は俺に身体を預けたまま、意識を失ったようだった。






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